習い事の教科書 - 習い事に通わせるべきか?③ -
今回の記事では、子どもにとって習い事に通うことで得られる「メリット」についてお話していきます。
習い事は子どもの心技体を成長させ、自己肯定感を育む
子どもにとっての習い事を通わせるメリットや目的については、色々なサイトや本で語られていますが、まとめると「将来の可能性を広げるための心技体の成長」と「自己肯定感の向上」の2つに大別できます。
まずは「将来の可能性を広げるための心技体の成長」についてお話します。
1つ目は「心の成長」です。習い事に通うことは、子どもにとっては新しい挑戦をすることであり、楽しい半面、様々な困難が待ち受けています。それを一つずつ乗り越えていくことで、好奇心だけでなくGRID(グリッド。やり抜く力)も身についていきます。また、学校とは違う友人関係を持ったり、家庭や学校以外の大人と接したりする中で、世界が広がるとともに、社会性や共感力などの非認知能力が育ちます。ただし、「心の成長」は目には見えにくいものですし、子どもが失敗を繰り返しながら獲得していくものですので暖かく見守っていくことが重要です。
2つ目は「技の成長」です。言い換えると、その子の才能(得意)を発見すること、才能(得意)を伸ばすということ、または苦手をなくすことが技の成長です。子どもがどんなことが得意なのか、もしくは不得意なのかは実際にやってみないと分かりません。「子どもが興味を持ったため絵を習わせみたら意外にも絵の才能があった!」というようなことも珍しくありません。もしくは、早いうちに暗算力を身に着けさせるためにそろばんを習わせたり、英語で苦労しないようにと英会話に通わせたりすることも「技の成長」のためです。これも習い事に通わせる大きなメリットと言えます。なお、注意したいのは、子どもによって得意の領域はもちろん、その伸ばし方や伸びるスピードも個人差が大きいので、すぐに結果が出なくても焦らないことが重要です。
3つ目は「体の成長」です。スイミングなどのスポーツ系の習い事を習わせるときにはこれが主な目的になる場合が多いでしょう。プロのスポーツ選手を目指すわけでなくても、少しでも健康的な体づくりを目的としてスポーツ系の習い事に通わせている親御さんも多いと思います。中学受験などを考えており、長時間の勉強に耐えられる体力と気力を身につけて欲しいという目的で通わせる場合もあります。特に、5~8歳のプレゴールデンエイジや9歳〜12歳のゴールデンエイジでは正しい動作を可能にする神経系の発達が、その後の13歳〜15歳ポストゴールデンエイジでは身体能力の発達が顕著であるので、その時期に正しい運動をさせることは体の成長の上で非常に重要です。
多くの方が、このような「心技体の成長」が習い事に通わせる上で大きな目的としていると思いますが、むしろ、もう一つのメリットである「自己肯定感の向上」の方がより大切な習い事の効果かもしれません。「自己肯定感の向上」とは、自分への自信を持ったり、自分を好きになったりすることです。心の成長や技の成長、それから体の成長は自分への自信に繋がります。特に、物事に諦めないで取り組み続けて結果を出すことは大きな自信になります。自信はさらなる挑戦に繋がり、それがまた自分への自信になるという自信の好循環が生まれます。「自己肯定感の向上」というメリットをより大きくするためには、できるだけ子どもを褒めてあげることが大切です。
また、自分が興味を持った習い事に親が習わせてくれるということ自体が、本人が親からの愛を感じ、自己肯定感を育むことに繋がります。ただし、子どものやる気にはムラがあるものですので、子どものやりたいやりたくないだけで習い事を始めたり辞めたりすると、すぐ諦める子になりかねないので注意が必要です。
次回は、子どもが習い事に通うことで得られる「親にとってのメリット」についてお伝えします。